【プロセッサーレビュー】⑧AGOレビューまとめ
- Kazuyoshi Kawasaki
- 6 時間前
- 読了時間: 5分
「AGO FILM PROCESSER」(以下、AGO)を使ってみて実感できたり、発見したことなどを最後にまとめてみます。
まずは、特徴と導入のメリットです。
1.複数のフィルムフォーマットに対応
AGOがパターソンタンク&リールを活用するからでもありますが、フィルムを自家現像までするユーザーは、複数のフィルムフォーマットを使う方が少なくないかと思われます。パターソンのリールは主流の135(35mm)、120(ブローニー)に加え、少しレアな127フィルムにも対応。さらに、オプションで対応するリールやタンクを準備できれば、110や4x5/5x7/8x10inchまで現像可能。

2.複数の現像方式に対応
AGO一台で、モノクロ(B&W)、C-41、E-6、ECN-2と一般的なフィルム現像を網羅。これらはデフォルトのプログラムが用意されており、初心者もAGO任せで現像が可能。さらに、カラー印画紙現像(RA-4)ができるプログラムも用意されています。

3.AGOの肝「時間補正機能」
AGOに搭載された温度センサーによって、特定のアルゴリズムにより薬液温度に応じて処理時間を調整するのが「時間補正機能」。薬液の指定温度の数度の上下に神経質になる必要がなく、処理中の温度監視などに煩わされず済みます。

ただし、特定のアルゴリズムというのが、薬剤にあわせてデフォルトのプログラム毎に調整されているため、使用する薬剤を適切に選ぶひ必要があります。
モノクロ(B&W)は、イルフォード社ということですが、フィルムの特定はありません。
C-41やECN-2などでは日本国内で通常入手できないものがあるため、使用する薬剤に合わせて各自で検証をする必要があります。
※薬剤と現像方法に対応する最新の補正グラフはこちら
4.現像プログラムのカスタマイズが可能
多彩な現像手法と多種のデフォルトプログラムに加え、現像プログラムをほぼ自在にカスタマイズが可能。個人レベルでのノウハウをもとに、オリジナルの現像プログラム(カスタムプログラム)を登録できます。個人的には薬剤調合などを行なっているため、現像時間の調整、水洗の回数や複数回の定着などプロセスのカスタマイズする自由度が高い点が魅力。さらに、カスタムプログラムの作成や登録も、Wi-Fi経由でPCから簡単にできるUI(プログラムコンフィギュレータ)が用意されています。また、ファームウェアのアップデートもWi-Fi経由で簡単に行えますので、プログラムの充実や機能の向上などにも期待が持てます。
5.現像クオリティの標準化
AGOではプログラムされた通りにフィルム現像が粛々と進むとともに、温度変化による現像時間の補正機能の働きにより、労せず一定の現像クオリティを常に保てます。薬液の温度、攪拌方法や回数による影響も最小限に抑えることとなり、フィルム現像におけるクオリティの標準化が可能。ある意味、自宅にプロラボがあるとも言えます。
その他の個人的な感想を加えると。
★機械現像による身体的負担の軽減
薬液を入れ替えるだけで現像工程が進むため、一言で言うと”楽チン”。
★金属リールが苦手な方には最適
パターソンタンク&リールが使えるのでリールへフィルムを巻く心理的負担と失敗のリスクを低減。(個人的には金属リール派なので、プラリールに巻く際は事前練習&冷や汗かきながらやりました)
★垂直現像なら省スペース
AGO自体を水平に置くのみならず、縦にしても現像できるため従来のパターソンタンク同様の省スペースでの現像も可能。
※温度センサーは使用不可となるので注意が必要です。

★バッテリーの持ちが良い
フル充電後、レビューした間、一度も追い充電せずに問題なく使用できました。現像本数が多い方には、とても魅力的ではないだろうか。
最後に、気になったことを2点ほど書き留めます。
○気になった点
1.AGOとタンクの間からの液漏れ
AGOとタンクとの取り付けがしっかりと密着されていないと現像中に液漏れを起こし、現像失敗にもつながります。プログラムに水や温水による”前浴”入れて、液漏れしないことを現像工程前に確認することをおススメします。また、万一液漏れてもいいように、AGOとタンクが入るバットなどの受け皿を用意しましょう。
2.時間補正機能の対応が限定的
海外ではメジャーでも国内での取り扱いが限られている薬剤(C-41/E-6/ECN-2)対応が多いため、時間補正機能が完璧にアジャストできるわけではないことをあらかじめ認識しておいてください。この辺りは、自身が使う薬剤と実際の結果を突き合わせてノウハウを蓄積する必要があるとも言えます。サポートページから声を上げて、対応をお願いをしてみるのも手かもしれません。
モノクロ、C-41、E-6のみを一通り使ってみただけなので、AGOの性能やアドバンテージを全て引き出せたわけではありませんが、攪拌方法の細かい設定などもできるため、より精緻な現像プログラムを施すことも可能です。一般のユーザにとっても何とか手が届くフィルムプロセッサーということと、自身のフィルム現像の課題や問題などを払拭し、より安定した現像クオリティを担保できる手段であることは間違いありません。
AGOに興味を持たれた方は、日本語のマニュアルがサポートページから誰でもダウンロードできますので、詳しいスペックや設定、使用方法などを確認してみてください。そして、国内の販売元も、みなさんご存知の「かわうそ商店」さんのため、安心して購入をしてもらえるというのも大きな利点ではないでしょうか。

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「AGO FILM PROCESSER」レビュー
Kazuyoshi Kawasaki